夜明け前

どうしてこんなに死んじゃいたくなるんだろう。
とにかく、どういうわけか分からないけれど、すべてをごまかしたくなるとき、考えたくないとき、わたしはいつも死にたくなる。
生理になって落ち込んでるのもあるかもしれない。
吉高由里子さん主演の映画「婚前特急」の続きを見たけど、あの見下し系でやな女なかんじ、痛いかんじ、自分にそっくりで見ていて落ち込んだ。死にたくなった。
2011年の映画だったんだ。
当時わりとすぐに見たけれど、あのときほど態度が悪くなくても、わたしの投げやりで自暴自棄なところの内面は、あれから全然変わってない。
わたしは、いろんな病気だったり障害だったり、抑うつ状態だったりとか病名がつけられていたりするけれど、だけどわたしの症状は、言ってみれば結婚したくてもできないこじらせ女子に共通するはしかみたいな症状で、それが慢性化してしまった典型的なかんじだ。
いろんなむつかしいことを理由にして、病気の症状だとかあれこれ分析してみるけど、だけどすべてがすべて、それだ。
このこじらせタイプが、かならず陥る、もがきの、夜明け前（その時期が長いことも多いけど、映画はまさにそれを超特急で描いた）の、そのままだ。
たぶん、もう、だれもが、見抜いている。見抜きたくないのは、本人のかたくななプライドだけって世界。
前回の診察で、死にたいとか空虚感を感じるのは、うまくいかない時期が長くてそう思えるようになってしまった、あなたはうつ病では決してない、と先生に言われたけれど、
わたしはその、「うまくいかない」という言葉が気に入らなくて、はあ？って思って、余計強がる発言をしてしまったけれど、強がれば強がるほど、典型的な反応で、いま思えば、先生はいったいなにをもって、なにがうまくいかないかは具体的に言及しないけれど、
たぶん、複雑にねじくれてしまったことからしても、男性遍歴も含まれてるだろうし、仕事も含まれているだろうし、いまさら紐解くまでもないじゃん、ってかんじで、

そうやって、ひとつうまくいかないとなにもかもだめになってしまって、それを総称すると「うまくいかない」のであって、
「うまくいかない」という言葉は、いまでは図星で、だからこんなにも、うまくいかない、と人から言われると、キレたりするのかなって思った。

室内楽サークルの先輩だったＹくんから初めてその言葉を言われたときは、「あたしはうまくいってないんじゃなくて、こういう事情もあるし、一つ一つお前あたしの事情理解して言ってんのかよぼけ」的なことを上高地から東京へ戻る高速道路の車内でぎゃーぎゃー言って、プロポーズしてくれていて返事を10年以上ペンディングさせて相手もよっぽどすん止めでこたえただろうに、よく高速で降ろされずに家まで送り届けてくれたなと申し訳なく思う（Yくんはこの件から３ヶ月後くらいに別の女性と電撃結婚をして、サークルの中でわたしだけ結婚式に招待されてなくて知らなかった。当たり前だけど）

診察でも、それを病気のせいにしてほしくて、病院なのに、なんで「うまくいかない」とか、なんなんだよ、お前医者だろ、病気じゃないのかよ、病気のせいってことにしてくれないのかよ、病院なんだからちゃんと診断しろよ、ってたぶんそんなふうに思ったのだと思う。
自分が、うまくいかない人だとは認めたくなかったのだと思う。
わたしほどの人物が、そんなうまくいかない一言で片付けられるなんんて、そんなばかなことないって。世の中がまちがってる、って。
そして、うまくいかない言い訳を、たくさん考えて。

「婚前特急」のあの主人公のかんじを見て、過ぎ去ったから思えるのか分からないけど、とても痛くて、落ち込んだ。まともな人が見たら、まったく意味が分からない行動をしている。だけど、そうなっちゃうつらさが痛いほどわかる。ああやって、相手に迫って、罵って、ぎゃーぎゃー泣きわめいてしまうのも、それはボーダーだからでも、アスペだからでもなく、ただ、女性独特の恋心ゆえにクレイジーになってしまう。
風邪になったら、みんな、せきや熱や鼻水が出るように。たぶん、わたしも、そんな珍しいことは一つもない。だからこそ、分かる人にはとっくに見抜かれてる。だからきっと、わたしは病院に通っているというのに、もう来る用がないかのように、必要性もないのになぜ来たのかという目で冷静に対処されて、情けない気持ちになるのも、普通の分別あるクレイジーじゃないモラルハザードしてない大人なら、だからたぶんそういう処置になるのだと思う。
自分だってわかってる。病院で見てもらう必要がないということは。
ただ、常に死にたくなってしまうことと、不眠とか、そういうことくらいかなと思う。カウンセリングが必要ですね、とかいう話には、自分がよっぽどお願いしなければならないのも、しゃべったところでつける薬もなにもないからだと思う。